西洋哲学は二元論を多用します。
たとえばアリストテレスの四大元素論では、世界は「火」と「水」・「空気」と「大地」2対2組から成る4つの元素で構成されています。
謎に満ちた自然現象や広大な自然界は「二区分で類型化」した方が認識・理解しやすいし、対の質同士のバランス・アンバランスも計測しやすい。
ギリシア・ローマ医学やアジアの医学(アーユルヴェーダ、中医学)は、この自然界のモデルを「人間の身体や心」にも当てはめます。
カラーセラピーでは色相環上、対極にある「補色」として扱います。火と水、天と地のように対極に位置する…相対的な色だからこそ補完し合うと完全なバランスになります。
リュッシャーカラーテストは人間の基本四感情「鎮静」-「興奮」、「解放」-「緊張」の二区分2組のバランスが「どのように偏っているか」を診断し、均衡を保つためのレコメンデーションを行います。
生徒さん方からはよく「補色を読むのが難しい」とご相談いただきますが、カラーセラピーだから「色相環」が世界全体、その中の対関係が「補色」と考えるだけで、
これはカラーセラピーに限らず西洋哲学、心理学で多用されるごく基本的な概念です。
ゲーテ色相環
アリストテレス理論を支持したゲーテは「赤・青・黄色」を原色としたニュートンを否定し、二元論と関連した「黄・青」原色としました。
※ただし「全体性」を語るには「赤」が足りない、と述べています。
黄色と青色
これは特徴のある組み合わせの中で最も単純なものである。ここにはあまりにも少ししかないということができる~中略~この組み合わせには赤の痕跡がまったくかけている。全体性があまりに多く欠落しているからである。
黄色と青、深紅色。そしてこれらを混色した赤青色、赤黄色、緑色。
この6色を円環に配置すると全体性~ゲーテ色相環です。
この全体の中で対極に位置する色が「補色」です。ゲーテは下記のように記しています。
黄色は赤青色を要求し
青は赤黄色を要求し
深紅色は緑色を要求する
その逆もまた同様である。
色名表記が違うと混乱する方が多いので、カラーセラピー的に表現すれば、
補色2色は互いに要求し合う「対極の色である」。
よって「補完し合えば完全性」。
しかし「バランスが崩れれば、葛藤や矛盾を生じやすい」のです。
センセーションはリビングカラーの補色の扱い(カラーハーモニー)を取り入れています。
カラーセラピストとして補色を使う
リビングカラーやセンセーションのように「補色は互いを補う良い関係」と規定しているシステムもありますが、多くのカラーセラピーではそのような規定はありません。
で、この「補色を上手く読み解きたい」というご質問が非常に多い(笑)
カラーセラピーに限らず、1つの素材が使いこなせないのに、質が異なる2つの素材を生かすことはできません。
- まずは単色の色の意味をある程度「使いこなせる」ようになりましょう。
- 色相環(自分が扱うシステムは全何色で「全体性」を構築しており、補色のコンビは何色同志か)・チャクラバランスを覚えましょう。
1は「場数踏まなきゃ出来ない」です。2は受講中にだけ勉強しても、そのまま忘れてしまってたら「使う側」にはなれません。
セラピーのゴールは「上手さ」ではありませんし、「上手く読む」に拘ると場数を踏めなくなり本末転倒ですが、もし「上手く読みたい」なら、受講後に最低限1と2はやってください。
色相環とチャクラバランスを覚えていれば、基本6色の補色は、
暖色系の色
↓
外向の色
チャクラの「下(現実)」の色
寒色系の色
↓
内向の色
チャクラの「上(精神)」の色
この対関係が組み合わさっていることが分かりますね。
補色のカラーセラピーサンプル
クライアントさんは講釈を聴きに来ているのではありません。「上手い言い回し」に拘る必要はありません。経験を重ねて総合的にセラピストとして成長するのが理想です。
また、色の意味は無数にあります。万人にフィットする組み合わせの「魔法の言葉」はありません。
でも…例えばレッドとグリーンの代表的ワードを2つピックアップしてみます。
1、「レッドのリーダーシップ」
2、「先頭を突き進むレッドのパワー」
1、「グリーンの周囲との調和」
2、「仲間を大切にするグリーン」
この2つを「組み合わせ」て表現してみます。
A)先頭で道を切り開くリーダーシップと、仲間への思いやりを併せ持つ。
B)いざという時は突き進むけど、普段は周囲をよく見て足並みを揃えることができる。
C)仲間を非常に大切にし、仲間のためなら率先して戦うことを厭わない。
D)仲間とよい関係を築くために、リーダーシップを発揮し働きかけている。
A) リーダーに憧れるけど、目立ってしまうと仲間が離れて行きそうで怖い。
B) 自分のやりたいように動きたいのに、つい周囲と自分を比較してしまう。
C)仲間と一緒にやりたいけど、仲間のペースに合わせるのはイライラする。
D) 周囲の意見を聴きすぎて優柔不断になりやすく、動くに動けない。
レッドは「第1チャクラ/肉体」
オレンジは「第2チャクラ/感情」
イエローは「第3チャクラ/意志」
グリーンは「第4チャクラ/ハート」
ブルーは「第5チャクラ/精神性」
バイオレットは「第7チャクラ/自己実現」
例えばオレンジとブルーの代表的ワードを2つピックアップして、「組み合わせ」て表現してみます。
A)日々の衣食住を楽しみながら、自分の責任・役割も受け入れ果たしている。
B)人との交流に積極的で、多様なタイプの人の内面を理解し受け入れる。
C)1人静かに落ち着く時間を大切にしながら、仲間といる時は大いにハジける。
D)言葉を使って理解し合い、体験を共有することで感情を分かち合う。
A) 毎日を気軽に楽しみたいのに、責任感が強すぎて楽しめない。
B) 軽い会話が楽しめない。真面目で堅苦しい会話になってしまう。
C)1人の時間が好き。でも1人でいる時にSNSの楽しそうな交流を眺めると羨ましくなる。
D) 慎重になりすぎて、新しい出会い・物事に積極的になれない。
- 単色の意味の理解(語彙力)を元にして、
- 答え(組み合わせ)は無数にある。クライアントの心情にフィットする言い回しは「クライアントじゃなきゃわからない」→「クライアントに問いかけていかないと、正解は出せない」
- 単色の語彙力がないのに「いきなり上手くやる」のは出来ない。経験値が追い付いてないのに「上手さ」に拘る必要もない。
「でも、経験積むにも相手がいない…」という方もいます。ゆえに、当校ではずっと「カラーセラピスト勉強会」を開催しています。
「経験を積む相手がいない」「勉強会も行かない」これは個々の状況もあるし、自分のため・いつか使うためにカラーセラピーを学ぶ方も多いのでOKです。でも「だけど、上手く読みたい」…こうなると無理があります。
カラーセラピーに限らずお料理教室も、教室で講師指導で学んだ後に何もしなければ「上手く」はなりませんよね。
2層のボトルと、単色ボトル
アヴァターラやオーラライトのような「上下2層」のカラーセラピーは、「色の意味」と「組み合わせ」を読み込むスキルが求められます。2層ボトルのカラーセラピーはおおむね、
- 受講時間が長めで受講段階がある。
- ファースト講座で「色の意味」を学び、セカンド講座では組み合わせ(補色の組み合わせ・アーチタイプ)を学ぶなど「段階を追って」学ぶ。
など受講費用が高額かつ時間が長い分、学べる内容も多いです。
逆に単色ボトル~全12時間で終了するセンセーションや、6色の6ベーシックカラーセラピーなど~は、「初心者が履修しやすいベーシックなカラーセラピー」で、安価=受講時間が短いです。
「色の意味」すら覚えきれない履修時間内に「色の意味の組み合わせの読み込み」を伝えても理解できませんし時間もありません。
資格取得後も、勉強会やフォローアップ講座で都度ご相談には乗っておりますが、この記事で自分なりに深めてみてください。
セラピスト自身が「色と親しむ」「色を通したコミュニケーションを楽しむ」のが上達への1番の近道なのです。