フェイバー・ビレン(1900~1988)はカラーコンサルタント、カラーセラピストのみならず、色彩心理学に関わる全ての人に広く知られる色彩学の権威です。
アメリカ・シカゴの画家の息子として生まれたビレンは、シカゴ大学で美術教職のために色彩学を学び色彩の奥深さ~「特に、色から多くの様々な反応現象を起こす人間そのもの」~に魅了され研究をはじめます。
1934年、彼はシカゴの事務所で「カラーコンサルタント」と名乗り、個人・企業・政府を対象とした「カラーコンサルタント」を世界で初めてプロフェッショナル(職業)として確立しました。
フェイバー・ビレンの功績
カラーコンサルタントに求められる知識は多岐にわたります。
「色彩心理」を元に個人の心理から環境心理(個人住宅・公共施設、企業の環境色彩計画)、商品のパッケージデザイン、企業のコーポレートカラー…人間の世界すべてがコンサルティングの対象になります。
ビレンは、生理学、美学、心理学、人間工学、倫理学、経済学…「色が人間社会と個人の心理に与える影響」のために幅広い知識を活用し多くのカラーコンサルティングを行い、研究実績・功績を残しました。
ビレンの色と人への姿勢は生涯変わりませんでした。
- 1,000名中46人が事故を起こしていた工場は、ビレンが色彩環境を整備したことで6人の事故者に軽減することができました。
- 破壊性の高い青少年が収容されているメンタルヘルスセンターでは、通路・カフェテリア・休憩室など用途に見合った色で環境を整えました。
- 特に病室は、収容者の年齢に応じたカラーが選択され、6年以上にわたるモニターの結果、収容者の破壊行動が激減しスタッフのモラルも向上したというデータもあります。
- 大企業であるデュポン社、ゼネラルモータースをはじめ多くの工場やオフィス、学校や病院・精神病院、そして陸・海・空軍まで、ビレンはアメリカ国内に限らずヨーロッパにまで活躍の場を広げました。
このようなビレンの幅広い活躍は、
を示唆しています。
カラーコンサルタントとしてのビレン
ビレンはフォード社をはじめとする大企業で多くのカラーコンサルティングを行いました。
現代日本に暮らすわたしたちに身近な色では、あの!誰もが見ているセブンイレブンのコーポレートカラーもビレンの仕事らしいです。
オレンジ色系統に最大の味覚訴求力があることを検証し、それが「セブン・イレブン」のCIカラーに採用されたことでも有名である。ビレン 色彩学の謎を解く/フェイバー・ビレン著 佐藤邦夫訳
ただ、現在7-Eleven, Inc.公式を確認すると、
CIカラーは、1946年アメリカでの営業形態が7時~11時(23時)になり社名を「7-eleven」に変更した時に
「7時=レッド~朝日」
「11時(23時)=オレンジ~夕焼け」
「グリーン=砂漠のオアシス」
とした。
このような説明でした。
1946年当時、朝日のレッド、夕焼けのオレンジ、オアシスのグリーンなど基本連想物やシンボルを提案したのがビレンなのでは…?と思えど、フェイバー・ビレンの名前は探せませんでした。残念。
色彩心理学
カラーコンサルティングは建築・環境デザイン・企業イメージのコーポレートカラーの提案・商品マーケティング・商品デザイン…幅広く手掛けます。
人間が視覚情報に80%を頼っている以上、
が全ての分野に欠かせないのです。
よって色彩心理学の権威と呼ばれる欧米の先達は、研究者・カラーコンサルタント・カラーテストの考案者…ビレンのみならず、リュッシャー博士もフレイリング博士も研究者であり、企業や個人のカラーデザイン・アドバイザーとしても活躍をしています。
ビレンは色彩心理の権威であるリュッシャーカラーテストのマックス・リュッシャー博士、IACCのフレイリング博士とも親交がありました。
リュッシャーカラーテストに関してはビレンの著作の中で何度も言及されています。
フレイリング博士が創始した「IACC~国際カラーコンサルタント協会」は、フレイリング博士から協力を乞われたビレンがカリキュラムの編纂に大きくかかわっています。
IACCのカリキュラムタイトルを見るだけで、「色を扱う者がどれだけの知識を持っているべきか」がわかると思います。
フェイバー・ビレンの著作
ビレンは精力的に講演を行いコンサルティングを行い、25冊の著作を残しています。現在も入手しやすい三冊(二冊)をご紹介します。
当校は「カラーセラピー総論のカラーテスト項目」で必ずご紹介していますから、見たことがある方も多いかも。
カラーセラピー講師になるなら必須です。
「ビレン 色彩学の謎を解く」「ビレン 色彩心理学と色彩療法」佐藤邦夫 訳(青蛾書房)
「色彩学の謎を解く」→「色彩心理学と色彩療法」に改題されてますので、この2冊の内容は同じです。(表紙もタイトルも違うので、当校には両方あります^^;)
フェイバー・ビレン、マックス・リュッシャー博士は色彩関係の書籍で紹介されていることが多く、名前だけは記憶にある方も多いと思います。(Luscher~リュッシャー博士はカタカナ表記では「ルッシャー」などブレが出ます)
フェイバー・ビレンの著書は入手しやすいので、カラーセラピスト、カラーコンサルタントを名乗る以上は持っていた方が良いですよ^^