カラーセラピストである皆さまは、ご自身が選んだカラーセラピーを履修し、そのシステムの
「マニュアル(使用する色数・色名・チャクラ対応はシステムで異なります)」
に則り学び、資格を取得しています。
でも受講後に色の歴史や心理の本を読んだり、ネットで情報収集し始めると、
「○○システムのマニュアル(枠組み)」外の情報
が山ほど出てくる。そこで様々な疑問が出てくるようです。一例としてよく頂くご質問は…
バイオレットとパープルの意味は違うのか?
西洋の「紫」色の代名詞はパープルの方です。
希少な染料だったpurpura貝(プルプラ貝~パープルの語源)はフェニキアで高値で取引され、当時の権力者たちから人気を博しました。ビザンツ帝国ではロイヤルカラーとされ「高貴な色」「禁色」でした。
「bone to purple」は「高貴に生まれつく」という意味です。
JISでは青味の強い紫がバイオレットとされています。日本語で言えばパープルは紫、バイオレットは菫色ですね。
上記を切り取ると、カラーセラピーのバイオレットは「菫色」。パープルこそ「紫色」と表記してもよいようです。しかし…
現代の慣用色名は赤味の強い紫をパープル、青味の強い紫をバイオレットと表記します。
ビザンツ美術のロイヤルパープルも「赤味」が強く、経年退色を考慮しても「紫」ではなく「緋色」に見えます。
じゃあ「赤紫がパープル、青紫がバイオレットね!」と思いたいところですが…
多くのカラーセラピーでは赤味の強い紫はパープルではなく「マゼンタ」や「ローズ」の色名がつけられてます。
- 歴史的に紐解けば、プルプラ貝の乱獲によりパープル染料が入手できなくなったあとにパープルの後釜に入ったのはロイヤルブルー(花紺色)。
- 色の歴史…ロイヤルカラーという視点では「パープル」と「ローズ・マゼンタ」ではなく、「パープル」と「ロイヤルブルー」が「王家の色」として似てる。
それはそれで問題ないですよね。
では冒頭に戻り、なぜ生徒さん方は「バイオレットとパープルの違い」に悩むのか。
第6チャクラのパープルと、第7チャクラのバイオレット、位置も近いし色味も似ているから、カウンセリングの時に差を出しにくい。
という「カラーセラピストとしての立場」で調べているからですよね?
文化史に「絶対的な正解はない」
上の一例で分かるように、特に色域が広い赤~青の3次色においては、色味と色名に「普遍的な・全世界、全時代で共通される正解」はありません。色と人類のつきあいはそれほど長いのです。
「正解」が欲しいなら、ご自身のポジションを思い出し、皆さんが学んだカラーセラピーシステム内で正解を求めてください。
- 各カラーセラピーには創始者がいて、特に3次色は創始者の想いを反映した色名が使用されています。
- ○○カラーセラピストとして「バイオレットとパープルの意味の違いを知りたい」と思うなら、○○カラーセラピーの色相環と基本連想物を確認してください。
○○カラーセラピーシステムの正解は○○カラーセラピーの中にあり、皆さんは○○カラーセラピストです。
カラーセラピストとして色の歴史を調べるのは素晴らしいことですが、「色の歴史」の書籍の中に○○カラーセラピーの「正解」はありませんし、色彩象徴は「心理分析」のために発展してきたのではありません。
20世紀以降のカラーセラピストは、紀元前から受け継がれた世界各地の色(色彩象徴や色のイメージ)を応用し、心理分析・投影法として応用する立場です。広大な色彩象徴や曖昧な色名の世界に溺れたら、「自分が持ってる資格(○○カラーセラピー)」のテキストに立ち返ってください。
印刷物ですら、色相と色名にはブレが出る
赤ですら「赤をイメージして」と言われ脳内にイメージする「赤」は人それぞれで「曖昧」です。色相・明度・彩度を記号で表記すると、「レッド」と「赤」は微妙に違う色です。
カラーコンサルティングやカラーデザインでは「色を説明・再現する正確性」のために「記号(色相・明度・彩度)」が欠かせません。
でもカラーセラピーは光の透過性が高いガラスボトルに液体を入れています。光の具合や角度で「見える色味」は変わります。
カラーセラピストはついつい、
「バイオレットは○○な意味だから…。アレ?バイオレットって何色?このボトルってバイオレット?」
と「色名」に捉われ、「色名」から歴史を紐解きがち。でも色名って、ホントに曖昧なものなんですよ。特に各国の歴史上の色名に普遍的正解はないです。カラーセラピーの主役は「色そのもの」「色名」ではなく、
「その色に映し出された、人の心」
熱心に色の意味や歴史を調べる方ほど「色名」で混乱をきたしやすいのですが(調べること自体はとても良いことです^^)、自分が何のために色の意味を調べているのか?を見失わないでくださいね☆