古代の哲学者たちは、人間を取り巻く世界(自然物や自然現象)を構成する「元素」から認識しようとしました。また、世界と類比し人体も同じく「元素」で構成されていると考えました。古今東西でこの概念は見られますが、
カラーセラピーに欠かせないのは「空気(風)」「火」「水」「土」の四大元素です。
BC450年頃にエンペドクレスにより提唱された四大元素論は、約100年後にアリストテレスにより体系化されルネサンス時代まで哲学・ギリシア・ローマ医学の根幹でした。
アリストテレスの元素論は「湿と乾」「熱と冷」という対の二極・2組を統合させることを重視しています。第一原質に、対の「温-冷」「湿-乾」が加わることで四元素が生まれます。
元素論
哲学・論理学・医学・占星術・神秘主義…カラーセラピーに深く関わる西洋・東洋思想の根幹には必ず元素論があります。
エンペドクレス、アリストテレスの四大元素論はギリシア・ローマ医学に。陰陽五行は中医学に。五大はアーユルヴェーダに。
わたしたちカラーセラピストとしては、
- まず世界には1つの完全(未分離)な状態があり
- そこから分離されて万物が生み出される
- 分離された後の状態に不具合が生じれば、再び完全性を取り戻すことで修正される
この「完全ー分離」「バランスーアンバランス」「創造ー破壊」このダイナミズムの中で変化が起きる(自然界も人間も)。ここを理解しておくと…
錬金術ってなにか。なぜユングがセルフの統合を重視したのか。なぜ心理学がバランスを重視するのか。なぜカラーセラピーは補色や元型を重視するのか。なぜミッシングカラー(欠けた色)を補うのか。「課題がギフト」に変わるのはなぜか…カラーセラピーのノウハウや、カラーセラピーに影響を与えている各ロジックの理解に役立つと思います。
人間は古代から、謎に満ちた自然界や人体、精神を認識するために分類し、
調和とバランス・完全性・不調和とアンバランス、不完全性
について考察を巡らせ続けました。その基本概念が元素論なのです。
元素論は哲学、医学、心理学、精神分析だけではなく、神秘主義にも多大な影響を与えています。アリストテレスはエンペドクレスの四区分を発展させ、宇宙を満たす物質「エーテル」を加え五大元素としました。
「エーテル」物質は後に光の媒体物質とされアインシュタインに物理的には否定されていますが、現代でも神秘主義者は微細身としてエーテルという言葉を多用しています。
全てのものは「1つ」から生まれ、「1つ」は全てでもある
4つの元素は世界の柱である。それらは初めに創造主の手によってカオスの中から放出され、かたどられる。たがいに反撥しながら、現世の均衡と調和を保つ。天界の及ぼす力をとおして、それらは地球の上と下のすべてのものを生み出す。ミカエル・センディウォギウス 17C
たがいに反撥しながら「均衡と調和に戻る」概念は、
などなど、カラーセラピーや心理分析の「心理バランス」でも多用されていることが分かりますね。
また、この創造主こそ一神教の神です。カラーセラピーの「クリア」はこの神を指します。
上にあるがごとく地にもあれ。一は全、全は一
ヘルメス文書で知られる言葉ですが、カラーセラピーのクリアの「神性」を真に理解するなら、「四大元素を生み出すほどの強烈な創造神・絶対神」である、知っておいた方が理解しやすいかもしれません。(日本人の「神」のイメージはちょっと違うんですよね;)
四大元素と色
西洋の四大元素・中国の陰陽五行・インドの五大など「元素論」は世界に数多くあり、おのおの「色」や「形」が対応しています。
ただし、遥か古代から伝承されている「元素と色」です。
四元素も、キリスト教会支配が強まる前は低地にたまる水を「黒」で象徴したり、大地を「黒」で象徴することもありました。
時代や地域、もちろん元素論ごとに様々な説があり「絶対的な正解」はありません。
カラーセラピーでもシステムにより対応色の違いがあります。
- アヴァターラのミッシングカラーの枠組みは「水の青色」「火の赤色」「空気の黄色」「地の緑色」
- フレイムカラーセラピーでは「水は青」「火は赤」「空気は緑色」「地は黄色」
大切なのは「元素は何色か?」という議論ではなく、セラピストがカラーボトルを前に、
- クライアントがセレクトした「色のバランス」を見る
- 「均衡と調和を保てているのか?」「欠けている質があるなら、バランスを補正するには何を補えばいいのか?」
「バランス」を推論しながらセッションすることです。
カラーセラピーに大きな影響を与えている錬金術、精神分析も四大元素を元に象徴やタイプを提唱しています。
医師であり錬金術師であるパラケルススは四大元素に四大天使、四大精霊を区分しました。
- 「火」はミカエル。精霊はサラマンダ―
- 「水」はガブリエル。精霊はウィンデーネ
- 「土」はウリエル。精霊はノーム
- 「空気(風)」はラファエル。精霊はシルフィー
ユングはタイプ論で「空気と土」「火と水」を性格類型し、対関係にあるタイプを「(成長の為に)自分が乗り越えるべきシャドウ」としました。
シャドウと向き合うのは「課題」「チャレンジ」です。
でも「課題」と向き合うことで「火と水」「風(空気)と土」相対するエネルギー2つの均等を取り「完全性」「全体性」「バランス」を手に入れるのです。
陰陽五行の色
変わって中国も紀元前から「世界の構成元素」を5つに規定していました。
- やはり最初は混沌(カオス)がありました。
- 澄んだ気(陽)と濁った気(陰)が上下に分離し太陽と太陰(月)が生まれます。
- 太陽と太陰から五つの元素~木星・火星・土星・金星・水星が生まれます。
これで日・月・火・水・木・金・土・日の1週間が完全に揃いました。天地創造の1週間説より、わたしは好きです☆
混沌世界を整理し、理解するための智慧ですね。
2対2組の四大元素は「対関係のバランス」でしたが、奇数の五行は「循環し続けるバランス」です。
- 青く茂る「木」々は「青色」。季節は「春」「陽」
- 赤く燃える「火」は「赤色」。季節は「夏」「陽」
- 黄色い大「地」は「黄色」。季節は「土用」「陰陽」
- 熱した「金」属(もしくは中華の西の白銀の峰)は「白色」。季節は「秋」「陰」
- 低地に流れる「水」は「黒色」。季節は「冬」「陰」
対関係の均衡を保つ4元素と異なり、五行はエレメントからエレメントへ滞らずにスムーズに流れることが理想です。
ニューエイジの元素と色
クロモテラピーでは陰陽五行を用い「気の流れを是正するためのトリートメント」を施術しますし、センセーショントリコロールカラーセラピーは五行サイクルで分析・診断し「滞り」を見出します。
ただし「”色は光そのもの、神そのもの”の一神教下」のニューエイジャー・カラーヒーラーを経由した陰陽五行です。多くは「黒(闇)」の使用を避け、
陰陽五行
「木」青
「火」朱(赤)
「土」黄
「金」白
「水」黒
欧米経由
「木」ブルー
「火」レッド
「土」イエロー
「金」ホワイトもしくはバイオレット
「水」ブルー
と一部の色がアレンジされています。(ヒーリングシステム創始者の考え方で色対応は変わります)
五大と色
カラーセラピーにはあまり関係ないけれど、五大と色や形にご興味ある方は一部引用しておきました。全文は下記リンク先でどうぞ☆
この記事の中でも紹介していますが、カラーセラピーや西洋思想に影響が強いエジプトギリシアの四元素、中国の五行、そしてインド&仏教(密教)五大に関し記していますが、マヤ、アステカ、アメリカインディアン…世界でさまざまな民族・文明が「元素論」を説いています。
人々を取り巻く自然環境が違うと構成要素も多少変わり、元素と色は多種多様な考え方があります。