カラーセラピーをライトに扱うなら、設立された時代背景や思想を理解する必要はありません。
でも当校履修生は熱心に「色の意味を理解・深めたい」方や「カラーセラピーとは何か?」を追求したい方も多いので、
その原点から説明した方が早いので、ざっくりまとめました。
カラーセラピーの背景~ヒッピーとニューエイジ
※ヒッピー&ニューエイジムーブメントは音楽・アート・ナチュラルヒーリング各種などに多く影響を与えていますが、この記事はカラーセラピーとの関りに焦点を絞っています。
1960年代のベトナム戦争前後、アメリカを中心に「ラブ&ピース~ヒッピームーブメント」が起きました。
世界平和、女性の地位向上、環境&自然保護、被植民地の解放をスローガンに、アメリカはじめ西洋(キリスト教圏)で「自由と平和」を求めた若者は、非キリスト教圏~多神教圏、例えばインド・ネパールなど~に「楽園(ユートピア)」を見出しました。
極彩色のタイダイ、サイケデリック、チャクラ、メディテーション…60年代ヒッピーは西洋のカウンターカルチャーでもありました。
カラーセラピーでもこの言葉がよく使用されますね。
イギリスでカラーセラピーを創始したのは、このヒッピー世代~1970年以降のニューエイジ世代の人たちです。
カラーセラピーのシステムコンセプトや「色の意味」にはニューエイジ思想が投映されています。
よって「色の意味」「カラーセラピーのコンセプト」を本当の意味で理解するなら、「ニューエイジ思想」も知っておいた方がいいのです。
ニューエイジャーとは?
ユダヤーキリスト教では、受難の後の「神の再臨」「千年王国」が経典に記されており、古くから「課題を乗り越えた先にあるギフト」「困難の先に表れる楽園」への潜在的希望と期待が刷り込まれていました。
新約聖書「ヨハネの黙示録」には「アンチ・キリストとハルマゲドンの闘い」、そしてハルマゲドン後に再臨する神の1000年王国の樹立が記されています。
彼は悪魔でありサタンである龍、すなわちかの年を経たへびを捕らえて1000年の間つなぎおき~中略~1000年の期間が終わるまで、諸国民を惑わすことがないようにしておいた。~中略~彼ら(注:悪魔崇拝をしなかった信徒たち)は生き返って、キリストと共に1000年の間、支配した。~中略~彼らは神とキリストの祭司となり、1000年の間、支配する。 新約聖書より
ユダヤ教の「ダニエル書」「タルムード」にも神の再臨と王国樹立が記されています。
また、黄道上の春分点がうお座からみずがめ座に入ることから「2000年代はみずがめ座の時代(アクエリアン・エイジ)」とも呼ばれます。時期については多少ズレますが(占星術上、神秘主義上など)、今はみずがめ座の時代に入っています。
西暦上&占星術上「2000年代」は「新しい時代」を示唆しており、「自由・平和・解放・愛」を求めたヒッピームーブメントは、一層の精神主義や心霊主義、そして「自己回帰」をミックスして「ニューエイジ・ムーブメント」として発展します。
トニー・クーパー(オーラライト)やステファニー・ファレル(センセーション)、マイク・ブース(オーラソーマ)もこの世代です。
「千年王国(新時代)」「アクエリアン・エイジ」がニューエイジ呼称のルーツと言われていますが、2000年代を前に、極東の日本ですら「ノストラダムスの大予言~1999年の滅亡」が大ブームになったことを考えると、
一神教下の欧米人が「東に楽園を見る」…ニューエイジャー(元をただせば神智学)がチャクラや気の概念、メディテーションや呼吸法、そして多神教に魅了されるのが興味深いですよね。
カラーセラピーの成立
サイケデリックなどミュージック・アート・ファッションシーンに多大な影響を与えたヒッピームーブメントは、集団生活の中でのヒエラルキーの形成がカルトを生み出したり、薬物との境界線が曖昧だったり…そんなネガティブも生み出しました。
依存先を神から教祖・仲間に変えても「自分の人生の決定権を他者が握る」ことに変わりありません。
ニューエイジは「全ての人の中に神がいる」~依存ではなく「独立と共同創造」、そのための「自己成長」や「自己知」「個性化」にフォーカスしました。
よって「セルフ」「個性化」のユング心理学や「自己の成長」「自己実現」の人間性心理学と親和性が高いのです。
また、自然療法・代替療法の起源は古代シャーマニズムまで遡りますが、ヒッピームーブメントの「自然回帰」の流れもあり、ニューエイジ世代はアロマテラピー、クリスタルセラピー、フラワーエッセンスなどの自然療法を「システム化」し一般に普及させました。
心、身体、魂の健全と成長のために、個人の独立と、独立した個人が共同で手を取り合い地上に楽園を創造するために。
カラーセラピーはこのムーブメントの中、イギリス(キリスト教圏)で創立されています。
よって古代から行われている「カラーヒーリング~色で人を癒す」自然療法と、19世紀以降に確立された「精神・心理分析」の手法が統合されているのです。
カラーセラピーの創立年を見ると、まさに「新しい時代~2000年ミレニアム」直前にニューエイジャーがニューエイジ(新時代)に向け創ったセラピーであることが分かります。
- 1984年オーラソーマ
- 1991年オーラライト
- 1996年アヴァターラ
答えは自分が知っている(クライアントの中に答えがある)
歴史や背景から見ることで、カラーセラピーのコンセプトがご理解いただけると思います。
カラーセラピーに影響を与えていること
ニューエイジ思想はカラーセラピーに色濃く影響を与えています。
例えば、みずがめ座の前は「うお座の時代」で「宗教と権威」の時代でした。
みずがめ座の時代は、うお座の権威から離脱し「個性化」「共同創造」へと発展する時代です。
カラーセラピーの「色の意味」には「ありのままの自分」「ありのままの自分を愛する」「自信」「自己信頼」などが多用されますが、その背景は理解できたでしょうか?
(ヒッピーやニューエイジに関する書籍は山ほどあります。ファッション、音楽、アートからスピリチュアル、セラピーまで関わるカルチャー史でもあるので、興味ある方は1冊読んでみるといいですよ♪)
-
オーラライトがシステムシンボルにユニコーンを用い、「ユニコーン2000」の別名を持つ意味
-
オーラライトが1000年ごとのミレニアムボトルを持つ意味
-
トニークーパーが「ディスティニー(運命論)ではなく、マインド(個人の意思)を」と伝えている真意
などなど、本来は日本人も「カラーセラピーシステムの背景」にあるものも含めて理解した方が腑に落ちることが多いと思います。
センセーショントリコロール総論やオーラライトサードでは、ニューエイジや神智学に触れる時間があるのですが、通常は一見カラーセラピーと関係ない近代カウンターカルチャーの話をする時間はないので、ご興味ある方の参考になれば嬉しいです☆
当校のBGMではよくテクノ…チルアウトやエスニックテクノというジャンル…がかかっています。
と言われることも多いですけど(笑)
東に楽園を求めたヒッピー欧米人がインドのゴアなどに集い夜な夜なレッツ・パーリーして生み出したジャンルでもあるので、わたし的には「カラーセラピーや仏画っぽい~」と思ってます。
一昔前は「ニューエイジミュージック」と言われるジャンルもあり、日本で言えば喜太郎や宗次郎のシンセサイザーサウンドが扱われてもいました。
このようにヒッピー&ニューエイジムーブメントは多方面な文化に影響を与えているのです。