観音菩薩が慈悲の菩薩であるなら、文殊菩薩は智慧の菩薩。 チベット語だとジァムヤン、サンスクリット語だとマンジュシュリ。日本の正式名は「文殊師利菩薩」。
対になる虚空蔵菩薩が学問・記憶の菩薩だとすれば、文殊菩薩はもっと現実・具体的な「生きるための智慧」の菩薩です。
アラパチャナ・マンジュシュリの造形
右手で火焔に包まれた剣を振り上げ、左手には蓮台に乗る「智慧のシンボル・般若心経」を持つ姿はアラパチャナ文殊と呼ばれます。
チベットでは妃を抱く三面六臂のマンジュヴァジュラ、獅子の上に座すマンジュゴーシャなど意外と多くの形を以てます。(日本は獅子の上に座し、頭髪を5つに結んだ姿が多いですね)
赤~オレンジで身体を描かれますが、わたしはつい「黄色=知恵」のイメージから黄色~山吹色で塗るくせがあります。
文殊菩薩の暖色の身体
仏教やヒンドゥ教では太陽の色~赤・オレンジ・黄色は非常に「高貴」で「智慧」を表す色です。原始仏教の高僧は、サフラン(黄色~オレンジ)で染めた僧衣を身に着けるように規定されました。
その影響からか、今でもチベット仏教の僧侶の袈裟は臙脂色。小乗仏教僧の袈裟はオレンジ~黄色。ヒンドゥのヨーギはイエロー~オレンジの衣。
暖色系の僧衣は「出家僧」の色として扱われます。 (日本や中国だと禅宗の影響から、灰色や墨色も登場しますね)
特に黄色は太陽そのものの色であり、光は無明を照らす智慧そのものであり、ブッダの肌の色でもあり、非常に「高貴」な「智慧の色」とされています。
クリアライト(白色光)は究極の光であり、真理の色ですが、暖色系の光の色は少し暖かみがあり、俗世に生きる人間を暖かに照らし豊穣を与えてくれる真昼の太陽の光の色なのです。
文殊菩薩(マンジュシュリ)仏画
当校ではマンジュシュリ「彩色仏画」「点描仏画」を描いていただくことができます。
マンジュシュリ点描曼荼羅
オプションで「C3 マンジュシュリ」を応用し曼荼羅風に描いていただくことも可能です。(サンプル画像はクァンイン)