「色」を学び「色(有彩色)」に目が向きはじめると、「色がない無彩色(白・黒)」が気になり出す方が多いのか…
- ふと自分のワードローブに無彩色の服が多い(色が少ない)ことに気づいたり
- いつも「黒い服」を着ているお友達が気になったり
「黒い服ばかり着る人は、どんな人ですか?」
そんなご質問を多くいただきます。
「知識が広がったことで視点が増え、気づきが増える」のは楽しいですよね♪
ただし…服やインテリアの無彩色への嗜好は、心理状態と直結させることはできません。
「あえて選ぶ服の色」であるオレンジやイエローと違い、無彩色の服は「合わせやすい」「TPOに合う」など「自分の心理以外の要因」も関わっています。
- 無彩色系はファッション的には「無難な色」「TOPや他色と合わせやすい色」。心理的な理由ではなく、利便性を優先し着る方も多いです。
- また、無彩色系はブームに関係なく一定供給があります。定番カラーなので自ずと購入者も多いです。
- 職種的制限があり、無彩色を着る人もいます。
- 「ファッションのスタイル」として「黒」「白」を選ぶ人たちもいます(後述のブラックブーム経験者にも多いです)。
このような「黒い服を着る人たち」は、カラーテーブルを前にすれば有彩色を選びます。黒は選びません。
- 黒は「拒否」「拒絶」「ブロック」の心理的意味を持ちますが、前述の理由ありきで「あえて(意図的に)黒い服を選択」してるのか
- 黒の「拒否」「拒絶」「ブロック」に「心理的に黒に惹かれて」選択しているのか…「黒い服ばかりを着ている人」それだけの情報で「その方の心理・パーソナリティ」は推論できません。
色は心理を投影する。けれど文化そのものでもある。
80年代にはブラックブームがあり、全身真っ黒なスタイルが流行りました。
ヨーロッパで「反社会性の色」もしくは「フォーマルな色」とされていた黒をファッションに取り入れたのは、コムデギャルソンやY’sなどアジア…日本のデザイナーたちでした。
黒を喪の色・闇の色とする欧米キリスト教文化と、中国の陰陽五行はじめとするアジア文化圏では黒の扱いが異なります。
中国文化圏では黒(玄)は五行の「水」の色であり、「天」の色であり、幽玄と神秘を表す色です。黒を神秘的かつスタイリッシュに進化させたブラックファッションは「東からの衝撃」とコレクションで称賛されました。
コレクション後、日本では「カラス族」と評される黒づくめファッションがトレンドになります。
黒=「スタイリッシュ」「都会的」「収縮色なので)シャープな」「先鋭的な」「クリエイティビティ」…そんなポジティブなイメージでブラックファッションが受け入れられた時代もありました。
これが黒ではなく「黄色」や「赤」だったら…
コレクションで称賛されても、道行く人大半が「その色を着ている」トレンドになったかな?「黒ゆえに」じゃないかな?と思ってます。
黄色や赤の服はTPOを選びますし「目立って(浮いて)」しまう。しかし黒は違います。
黒の服は汎用性が高いのです。
黒は「自分の個性を消し、隠してくれる色でもある」と同時に、「人と違う自分を主張できる色でもある」
- 「人と違う自分を体現し、凛と黒を着る人」もいます。
- 「無難で目立たぬ保護色として黒を着る人」もいます。
黒は特に、色だけじゃなく「着こなし方」も雄弁にその人を語ってくれます。
反抗期に黒を着る
とはいえ特定の条件(年齢など)が絞れるなら、ある程度の心理を推測できます。
子供の色嗜好は低学年から高学年にかけて、明度の高い色→1次色→2次色、3次色…徐々に複雑な色を好むようになるといわれています。
ゆえに子供が、”自分の意志で明度ゼロの「黒」”を好みはじめたら「反抗期」のスタートかもしれません。
思春期は子供時代から大人への移行期。親の支配や影響を許していた幼少期から、自我主体で人生を謳歌し始める青春期の狭間。
感情や意志のみならず、身体もホルモンバランスも不安定な成長期に、自分が持つエネルギーを循環・制御できずストレスを爆発させる子供もいます。
そんな「反抗期」の黒は、「周囲(大人)の影響(支配)から自分を護る」「反権力」「反発」まさに「ザ・反抗期」の色です。
黒を着ると不良になる?
中学生前後(思春期)は、自我の確立…親や学校の干渉を極度に嫌い始める年頃です。
社会的には親の庇護下にあり、義務教育の真っただ中にいるのに、
「今まで受け入れていた規則や決まりごとの枠の中にいたくない」「自分のことは自分で決めたい」
と自意識や自我が叫び始める。
現実と自我のアンバランスが葛藤やフラストレーションとして溜まりやすい年ごろ。
他者(親や教師)からの影響や抑制・制御をシャットアウトし、自分自身を護る防御の色。
「反抗」の色であると同時に「自分を護る」色でもある黒の質は、「思春期」「反抗期」っぽいなぁと思います。
大人になり「確固たる自信・確立された自我」が出来上がれば「黒で自分を護る必要」はなくなります。
子供と大人の狭間、未分化な思春期、黒は「自分を隠し・強く見せたいからこそ築いた壁」の色でもあるのです。
「子供が黒い服しか着ない」というご相談を受けることがありますが、反抗期に至らずとも(最近は反抗期がない方も多いですよね)思春期に、
「黒い服を好む」=「大人の階段を上ってる」
ってこと。「黒い服を着る」ことそのものには問題はないと思います。
ただし「色はサイン」なので…。
お子さんが通常の思春期・反抗期以上のフラストレーションを抱えているように感じるなら、思春期の心が「護ろうとしている壁(プライド)」を尊重しながら、その他の要因(登校やいじめなど問題を抱えている)が隠れているか観察してみることの方が、親御さんとしては大事なんじゃないかな~と思います。
「あれ?最近妙にこの色ばかり選んでいるな…」 「あれ?昔はこの色嫌いだったのに…」
と「自分が選ぶ色」に意識が向くことがありませんか?
また、お友達と会った時 「あれ?珍しい色を着てるね」 と言う会話をしたことはありませんか?
「惹かれる色」「気になる色」には意味があります。
赤い服を着たい時、青い服を着たい時、同じ気分なわけないですよね。その色を手に取る「理由」はちゃんとあるのです。そのシグナルを紐解けたら楽しいと思いませんか?何気ないカラーチョイスの中に隠れた「自分の心の変化」を知り、人生に生かしたいと思いませんか?